経産省「ベンチャー企業の経営危機データベース」が面白い − @IT
2008/05/02
経済産業省が4月30日に公開した「ベンチャー企業の経営危機データベース」が面白い。テクロノジ・ベンチャーにありがちな経営上の失敗が分析されていて、これから事業を起こすことを考えている人は参考にできるだろう。
経営危機データベースは、「ベンチャー企業の多くは、起業して成長していく過程において、同じような失敗やトラブル、ヒヤリとした経験をしている」(経産省)という認識から、ベンチャー企業の「転ばぬ先の杖」として83件の実際に経営危機に陥った事例をインタビュー調査で集めた。事例は業種やその企業の成長ステージ、失敗の原因から検索することができる。
「ベンチャー企業の経営危機データベース」
ITエンジニアが関係しそうな「情報通信業」では11件が登録されている。失敗原因で目立つのは優れた技術力を持ちながらも、市場のニーズと合わなかったり、社内の組織体制が整わずに失敗するケースだ。
過去にこのブログで書いた問題意識を具現化してくれているようで嬉しい限りです。
『失敗とは』
今まさしくこの時間にNHKで放送中の『プロフェッショナル 仕事の流儀』での一言
あきらめなければ失敗ではない
『島田紳助』の新番組ではないが、『深イイ』と思った。
昨日の『品質管理とは』にも通じるし、以前書いた『成功とは』のようにゴチャゴチャこねくり回したわけでもなく、また、『失敗学会』のような小難しさもない、シンプルな「深イイ」である。
例えばこんなケース
「エンジニア体質から、技術重視の開発に走り顧客の要望を汲み取ることが出来ずクレームが発生」というケースでは、顧客の要望に沿ったシステム開発ができずにトラブルに発展した。原因は、「エンジニア集団としての企業体質があり、顧客サイドの経営課題やニーズなどを十分把握せずに技術的な面でのクオリティ重視に偏向していた」と分析され、「顧客の真の要望を見抜けない、仕様鵜呑みのエンジニア体質」が失敗要因と指摘している。
「作れる製品」ではなく「買われる商品」
こんな考え方ができるエンジニアがそうそういるわけもなく、しかも彼らは↓こんな人種だったりするんじゃないかと思うのです。
SEとは開発者か製造者か
以前から、「日本のSE(システム・エンジニア)の中で、本当に“開発”している人はどれぐらいいるんだろう?」という疑問があります。
実は何か新しいモノを作る“開発”ではなく、要求仕様に基づいてコードを書く“製造”しているだけなんじゃないのかと思うわけです。
メーカーのプロセスに置き換えてみれば、研究開発をリーディングしているわけではなく、誰かが設計した生産ラインの制御機器を設定するオペレーターであったり、そのラインの組立工であったりするんじゃないのかと。
それって、「情報処理技術者」なんてたいそうなものじゃなく、「要求処理技術者」じゃないか?
そしたらどうも、ITだけでなくWebの世界でもそんな人種が増殖している模様。
アナログなWEBアカウントプランナー:ウェブの人はできないことを先に言う。
「ウェブの人はできないことを先に言うから嫌い」
それってたまたま人が悪るかったんじゃないの?って
思うのですが、その人だけでなく、そこにいた周りの人も
「そうそう」って話をしていました。
その場はかなり反論したのですが、
でもその言葉が、思い当たるふしがあるんですね。
インタラクティブなエージェンシーとのやりとりや
ウェブ制作会社とのやりとりをしていると、
杓子定規のような回答しか戻ってこない時があります。
「どうやってその問題を解決していくか?」よりも
「そんなことはできません」が先にくる。
「まずやってみてよ」。って言うんだけど、
「絶対無理です」が先。
それは、特にウェブ以外の人から見ると
「歩み寄りがない」って思われるんだろうなぁと。
確かにテレビクルーと仕事をすると、「こうできない?」って言うと
「何とかやってみます」。と言われることが多い。その努力を
惜しまない。彼らには肩書き以上のプロ意識があるように
感じます。
ふむふむ
「できません。が先に来る。」
おっしゃる通りだと思います。
彼らは何も“開発”できなくて、誰かが開発したハードウェアやソフトウェア、フレームワークの中だけで組立工しているだけですから、元々ある制限と制約の中で「できないこと」はわかっても、自分たちの仕事の結果「何ができるか」「生み出せるか」はわからないでしょうし、自分の仕事じゃないと考えているんじゃないでしょうか?
それに比べて映画や放送に携わる人たちは「コンテンツ」をクリエイトする人たちですから、「生み出すこと」に価値観を持っているので、常に新しいこと、誰もやったことのないことに取組むことが前提となっているのでしょう。
SE・システムエンジニアやPG・プログラマのような人種と、ディレクターやクリエイターのような人種
それぞれの人種が経営危機に直面した時に、どんな違いが出るのか興味ありますね。
ゴールデンウィークの間に、ちょっと覗いてみるとしますかね。
ベンチャー企業の経営危機データベース(METI/経済産業省)
ベンチャー企業の経営危機データベース
〜83社に学ぶつまずきの教訓〜
1.データベースの目的
多くのベンチャー企業が起業後に、同じような失敗、トラブル、ヒヤリとした経験をしており、成長に伸び悩む企業が多いと言われています。そこで、ベンチャー企業の経営者が様々な場面で決断を下す際の「転ばぬ先の杖」として、将来起こりうるリスクを予見できるような失敗、トラブル、ヒヤリとした経験の事例を収集・データベース化しました。ベンチャー企業の成長に向けた経営判断の材料としてご利用いただければ幸甚に存じます。
2.データベース概要
本データベースには、平成19年度にベンチャー企業にインタビュー調査を実施して収集した83の失敗、トラブル、ヒヤリとした経験に関する事例を掲載しています。事例は、ベンチャー企業の成長ステージや失敗、トラブル、ヒヤリとした経験の原因及び結果といった分類項目をもとに検索が可能となっています。
以下、久々に吉例の数式シリーズを掲載:
社員力=アクション(行動)×イマジネーション(創造)×リノベーション(革新)
マネジメント力=クラフト(経験)×アート(直感)×サイエンス(分析)
傲慢=自信−能力
成功=発見×挑戦×失敗×復活×収穫
ベネフィット(便益)=メリット(利)×ロジック(理)×エモーション(情)
成果主義+能力主義=貢献主義
マーケティング力=集客力×販売力×商品力(生産力+開発力)
経営力=先見力×分析力×決断力
成果=(能力+応援)×思考
追記:
金融危機の解決法 by 冨山和彦氏 2008年10月09日
トップの決断力―私たちはこうして危機を乗り越えた | |
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■BOOKデータベースより
会社も仕事も人生も苦しいときこそ決断せよ!アサヒビール・池田弘一会長、イオン・岡田卓也名誉会長、神戸製鋼所・水越浩士会長、資生堂・池田守男相談役、セコム・飯田亮最高顧問、全日本空輸・大橋洋治会長ほか、日本を変えた47人のリーダーが語る自分の壁を超え、成長するヒント。
■目次:
第1章 決断(「目の前の峠を越えよ」。実力があれば、そのうちチャンスが巡ってくる―花王会長・後藤卓也
失敗を恐れていては何もできない。慎重に考え大胆に行動する―東日本旅客鉄道会長・大塚陸毅 ほか)
第2章 苦境・危機(ピンチを「使命感」に置き換えることが、危機を乗り切る最良の方法―ブラザー工業会長・安井義博
長い出向、左遷人事。それでも辞めなかったから今がある―帝人前相談役、現中小企業金融公庫総裁・安居祥策 ほか)
第3章 変化・改革(焼却される在庫の山を目の当たりにし決意した抜本的改革―資生堂相談役・池田守男
異端児で宇宙人だからこそ見えた会社の実態。三年で勝負をつけようと決意―J・フロントリテイリング社長兼CEO・奥田務 ほか)
第4章 試練・挫折(行く先々に待つ波乱は、「今何をなすべきかを徹底すること」で乗り切る―第一生命保険会長・森田富治郎
人の反対側を行くことで、幾度も経営危機を乗り越えた「ピンチこそチャンスなり」―ヨネックス会長・米山宏作 ほか)
■MARCデータベースより
会社も仕事も人生も、苦しいときこそ決断せよ! アサヒビール・池田弘一会長、イオン・岡田卓也名誉会長、神戸製鋼所・水越浩士会長など、日本を変えた47人のリーダーが語る、自分の壁を超え、成長するヒント。
■内容紹介
会社の危機、仕事や人生の転機など、大きな決断に迫られたとき、トップは何をどう決断したのか。日本を変えた47人のリーダーが語る、ピンチをチャンスに変える方法。登場するのはアサヒビール池田会長、イオン岡田卓也名誉会長、丸紅辻会長、資生堂池田会長、セコム飯田亮最高顧問、花王後藤会長、キッコーマン茂木会長他
コメントありがとうございました。
『「生み出すこと」に価値観を持っているので、常に新しいこと、
誰もやったことのないことに取組むことが前提となっている』
この文章を見て「なるほど」と
思いました。創っていく人と、
そうでない人は仰るとおり、
考える領域が違うのかも
知れません。
ありがとうございました。
よいケースを見せてもらって、こちらもスッと抜けた感じでした
ITやWebに巣くう「生み出さない」人たちが、どうしたら「生み出す」人になれるのか、考えてみたいと思います