日経ビジネス 2009年2月2日号【特集】セブン&アイの破壊 鈴木敏文会長、最後の大仕事
P.28「個店力」が限界を破る
“無限の棚”で得意先を開拓
ママの田振雅代が切り盛りするスナック「NaNa」。ここに、徒歩5分程度の距離にあるセブンイレブンの店員が、たくさんの氷を持って駆けつけた。
行橋神田町店のオーナー、花田敬三だ。
「いつも悪いわねえ。」
「こちらこそいつもありがとうございます。お酒は大丈夫ですか?」
雅代ママはセブンイレブンの「お得意様」である。氷や水だけではない。「白玉の露」「赤霧島」…。「NaNa」には、ファンにはたまらない入手困難な焼酎も並ぶ。いずれも花田がセブンイレブンから届けたものだ。
「花田さんのお店がなくなっちゃったら、本当に困る。だって、毎月仕入れる商材の半分くらいは花田さんのところにお願いしているんですよ。今、一番お金を払っている業者さんかも」
卸商店とお得意先。2人の関係を決定的にしたのは、花田が“無限の棚”を手に入れたことだった。
2008年7月、セブン-イレブン・ジャパンはインターネットの通販サイト「セブン-イレブンネット」をオープンした。通販と言っても、自宅に届くわけではない。近隣のセブンイレブンに届き、そこで決済して受け取る。到着までは4日。送料や手数料は無料だ。
〜中略〜
無限の棚の商品をお客にアピールできれば、オーナーは店舗面積の限界を超えた商売が可能になる。
花田は、これに乗った。いち早く、オープン時のキャンペーン商品の情報を雅代ママに教える。
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先日の『消費全般の不況ではなく、ローン商材不況なんじゃないか?』とは視点を変えて、小売不況とか百貨店・スーパーの没落という視点で考えてみると
“対面”での接客シーンにこだわっているフリをしながら、過剰でジコチューな“ホスピタリティ”を押し付けている暇があったら、「客が求めているならECサイトもちゃっかり活用する」ぐらいの想像力と柔軟性を持って、事業成長の糧になり、かつWin-Win-Winを実現する、『本当のホスピタリティ(?)』ってやつを示して欲しいものです。
『パレートの法則』も『ロングテール戦略』も、全部まとめて『遠くの親類より近くの他人となって、顧客のマインドシェアを高める』を実践すればよいのだ!?
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■内容紹介
日本で初めてのCVS・セブン-イレブンの創業、商品の共同配送やPOSによる単品管理、イトーヨーカ堂の業革、銀行業への参入。流通業界の常識や慣例を打破し続け、新興スーパーを日本一の巨大流通グループに育て上げた稀代の経営者が、その改革のドラマを語る。2007年4月に日経新聞朝刊に連載されたセブン&アイ・ホールディングス会長・鈴木敏文氏の「私の履歴書」単行本化。
■著者について
セブン&アイ・ホールディングス代表取締役会長・CEO