そのタコツボを脱出するための提言として、僭越ながらこんなこと書いたわけですが、
▼提言
エンジニアを名乗る(名乗りたい)なら、プログラマーなどコンピューティング分野の仕事の中だけに思考を閉じ込めるのではなく、常に科学全般への興味を持ち合わせた科学者として、効率よりも効果というビジョンを持ち続けて欲しい。
本当のエンジニアが議論すべきことは、「エンジニアの未来」ではなく「地球や人類の未来」ではないか?
ということです。
そんなこと、わたしに言われる筋合いはないですね。^^;
このタコツボ3部作(?)を書くことになったそもそもの発端は、『フリーのITンジニア問題』だったわけですが、
これまでに働く側の意識・ビジョンについては語っているものの、経営者・マネジメント側の問題について補足しておきます。
まずはこちら
IT教育の無策をお嘆きのITベンダーの経営者へ:ITpro
最近ITベンダーの経営者で、日本のIT教育の無策、あるいはITを学ぶことを敬遠する若者の風潮を嘆く人が多い。そして、必ず引き合いに出されるのがインドや中国。あちらの国では国策で優秀なIT技術者が大量に生み出されている。それに比べて我が国では・・・。まあ、そんなところだが、私はこの手の話にすごく違和感がある。本当にそうか。
〜中略〜
ただ、私が日本のIT教育の無策を嘆くITベンダーの経営者の話に違和感を覚えるのは、自分たちの産業の未来図を見せずして、優秀な技術者のタマゴを今まで通り大量に育成してほしいと言うのは無責任な気がするからだ。はっきり言って、この業界の国内での雇用力は中長期的には減少する。まずは、ITサービス業が近代化した時、どんな技術者が必要になるのか、その職場がどれほど魅力的なものにできるのかを示すことのほうが先だろう。
この記事へのコメント ※ITproは投稿コメント非公開なので自己引用
自分たちが第三次産業に属し、国際競争力でその分野の労働生産性が劣っていることをまず認識して欲しいですね。
その上で、労働生産性向上に役立つITを提案して欲しいものです。
『ITとは労働生産性を高めるための手段に過ぎない』の流れです。
お次はITの中でもSIのように、官公庁や銀行・保険・証券などの金融機関、製造・流通でも大企業相手に成長してきた業界とその経営者たちに読んで欲しい記事です。
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー: 日本の研究者の底力
例えば、マーケティングとテクノロジーのギャップの問題などがあります。アップルは携帯型デジタル音楽プレーヤーiPodを発売し、ヒットさせました。でも、発売時の日本企業にはiPodのような携帯型デジタル音楽プレーヤーを開発する技術力がなかったかというと、そうではありません。作ることはできたのです。でも、技術をビジネスにつなげられなかったのです。
もう一つ、
ナレッジ!?情報共有・・・永遠の課題への挑戦 > SIerってマーケティングが下手だよね : ITmedia オルタナティブ・ブログ
これまでSI案件というと別に営業をそんなにかけなくても獲得できたし、そもそもSIerの顧客というのはグループや企業系列の会社だったり既存システムの保守先が大半で、営業部隊こそ必要でもマーケティングなんてのは不要だったのかもしれない。
でもこれから系列取引が減り提案内容重視の競争入札的なSI案件が増えてくることを考えると、SI業界も他の業界と同じようにマーケティングについて一度良く考えた方が良いと思うのだ。
基礎研究に弱く応用研究には強いが、ビジネス化する上で肝心な活用提案が最も弱い。ということでしょうか。
そういう企業のホームページ、まだまだ多いです。
この分野でもイノベーションを起こしてほしいという願いを持ち続けてはいますが、クライアント側の経営者を起点にした「丸投げの連鎖」という文化を断ち切るのは相当難しいのかなと。
高島屋が“21店舗目”をやっと開店、サイト間連携の不具合が原因:ITpro
サービスの開始を延期していた高島屋の新しいオンラインショッピングサイトが、ようやくオープンにこぎつけた。「タカシマヤ ファッションモール」として9月21日時午前10時に開始する予定が、5日後の26日午前10時となってしまった。
原因は開発したシステムの不具合。ファッションモールと高島屋の既存ショッピングサイト間の連携に問題があった。既存サイトの会員がそのままのIDとパスワードで利用できるようにしたが、それに必要な情報の同期がうまくいかなかったという。ファッションモールは既存サイトとは別のサイトとして構築しており、外部のベンダーに開発と運用を委託した。
クライアント側としてベンダーに責任転嫁しようとする姿勢が垣間見えるニュースですね。
「機会損失だ!休業補償しろ!」(値引き)
巷でよく聞く、下請法の理念を踏みにじるような↑こういう商談に行きつかないことを願います。
『金融機関のシステム障害』のように計画停止のあるシステムでも障害があるのに、24時間365日無停止のインター・ネット・サービスを構築・運用することは全く次元の違うスキルを要するはずで、その人材は前記のような失敗を積み重ねることで育っていくわけです。
でもそんな人材は、クライアント側にも元請けのベンダー側にもそうそういるはずもなく、失敗体験をバネにして成長するようなステップはなかなか得られない。
IT・SI業界で勝ち残りたい経営者の皆さんは、ぜひ『ESなくしてCSなし』を実践して、競争優位を築いていって下さい。
従業員の安心とやりがい→顧客との信頼関係→適正利益の循環→安定した納税
です。
なんてこと、わたしに言われる筋合いはないですね。^^;
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■BOOKデータベースより
カギは、正しく選ばれた従業員と、彼らを動機づけられる経営者。GE、ウォルマート、IBM、サウスウエスト航空―その強さを支える究極の仕組みを明らかにする。
■目次:
1 価値を中心に置いた変革(バリュー・プロフィット・チェーン
価値を中心に据えて、ビジネスを見直す)
2 経営者の注意を引く(顧客生涯価値をどう測り、どう伝えるか
従業員価値をどう測り、どう伝えるか
変革のために結集する―強い文化への挑戦)
3 変革のエンジニアリング(戦略を価値観や文化とつなぎ合わせる
従業員を顧客と見なす―従業員関係性のマネジメント
顧客を従業員と見なす―顧客関係性のマネジメント
価値交換によるマネジメント
価値がコストを上回る仕組み)
4 確固たる利益基盤を築く(業績を左右する中核価値の見直し
価値を中心に据えた業績評価
業績のハードワイアリング
学習と革新に向けたリーダーシップ)
■MARCデータベースより
経営者の仕事は、戦略と価値観や文化を結びつけること。GE、ウォルマート、IBM、サウスウエスト航空などの、その強さを支える究極の仕組みを明らかにする。
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本書を執筆したハーバード・ビジネススクールの教授陣によれば、どうやって従業員に尽くし、顧客をいつ切り捨てるかを知ることが、収益を上げるカギであるという。『The Service Profit Chain』の著者でもある本書の執筆者は、生涯顧客をつくりだすことの重要性を強調し、従業員の満足と顧客の保持と収益性との間の複雑な関係について詳しく述べている。
実例として挙げられた企業は、フェデラルエクスプレス、サウスウエスト航空、ウォルマートなど。たとえば、好業績であるサウスウエスト航空の場合、機材の回転時間、つまりゲート到着から出発までの時間を25分に短縮するという、他社にまねできないやり方を実現できたのは、熱意にあふれたチームプレーを中心とする取り組み方が、社内に浸透していたからこそだった。在職6か月以上の社員が自社株を保有できるのもそうした理由からだ。それよりもさらに重要なことは、この会社の顧客の扱い方である。顧客とは「絞り込み、選別したうえで、この航空会社の普通とは違うやり方―― 座席指定なし、機内食なし、他の航空会社との接続なし―― に慣れさせるべき対象である」。維持コストのかかる顧客を避けることで、同社は収益を上げることができているのだ。
このような逸話のほかには、ビジネススクールの教科書のような文章があちらこちらに登場する。たとえば、「価値概念が達成されることにより、顧客、従業員、パートナー、投資家に最大利益がもたらされる。それは、組織、政策、プロセス、実践、測定、コントロール、インセンティブといった要因を使用することによってコストを上回る成果を引き出すことをめざした経営戦略を通じて達成される」といった具合だ。
このような文章に加えて、表やグラフが多用される本書には、研究者かビジネスの専門家のほうが興味を引かれるかもしれない。しかし、もっと一般的な読者にとっても興味深い内容もある。たとえば、ウォルマートの出入り口で客を迎える店員は、もともと万引きを減らす目的で配置されたという事実などがそれだ。
Copyright 2002 Reed Business Information, Inc.
■著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ヘスケット,ジェームス・L.
ハーバード・ビジネス・スクール教授(ロジスティクス、サービス・マネジメント、サービス・オペレーション)
サッサー,W.ール
ハーバード・ビジネス・スクール教授(サービス・マネジメント)。ハーバード・ビジネス・スクール・インタラクティブの責任者
シュレシンジャー,レオナード・A.
ハーバード・ビジネス・スクール教授(経営管理)、ブラウン大学教授(社会学、公共政策)を経て、Limited BrandsのCOO。以前はAu Bon Pain Co.Inc.のCOOだった
山本 昭二
関西学院大学商学部教授(サービス・マーケティング)。博士(商学)。1989年神戸大学大学院経営学研究科博士課程後期課程中退後、関西学院大学商学部専任講師、助教授を経て、1999年より現職
小野 譲司
明治学院大学経済学部助教授(サービス・マーケティング)。博士(経営学)。1998年慶応義塾大学大学院経営管理研究科博士課程単位取得後、早稲田大学アジア太平洋研究センター助手、明治学院大学経済学部専任講師を経て、2004年より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)